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2013年3月23日土曜日

ブログを引っ越しました

ホームページを立ち上げたので、ブログを引っ越しました。

http://mandwls.com/blog

こちらもよろしくお願いいたします。

2013年3月16日土曜日

IJET-24に参加します


今年の61日から2日にハワイ大学で開催されるIJET-24に参加することにしました。

IJETとは、International Japanese-English Translation Conferenceの略で、毎年、日本国内と国外(英語圏)で交互に会場を決定し開催されています。去年の広島に続き、今年はハワイでの開催となります。私にとっては、4年前のシドニー、去年の広島に続き、3回目の出席となります。



IJETは、セッションの内容が充実しているだけでなく、世界各地から英日・日英の翻訳者・通訳者が一堂に会するため、またとないネットワーキングの機会となっています。
2日間のセッションの前日には、医薬翻訳と法務翻訳のグループの会合がもたれ、夜には前夜祭も催されます。
私も、今回は、Starting and Building a Career in Pharma Translationというセッションで、パネリストの1人として登壇させていただくことになりました。
今回も、前回に続き、多くの方との新しい出会いがあることを楽しみにしています。
331日までに申し込めば、割引もあります。
ぜひハワイでお会いしましょう。



2013年2月21日木曜日

機械翻訳は翻訳者にとって脅威なのか?

今日、こんな発表がありました。


中国特許に特化した翻訳ソフト発売 高電社

この記事によると、「同商品は、各分野の技術用語に関する知識や独自の慣用表現への対応が必要な特許関連文書の翻訳で、最適化された中国語翻訳エンジンと特許辞書、専門用語辞書を用いて、高い翻訳精度を実現した」そうです。

翻訳エンジンと書いてあるからには、単なる翻訳支援ツールではなく、自動翻訳(機械翻訳)の機能があるのでしょう。

どれだけの会社がこれを導入して実際の翻訳作業を行うのか、またこのソフトがどこまで使用に堪えるのは分かりませんが、たとえ導入する企業があったとしても、特許の出願という企業の権利に関わる非常に重要な業務を、このソフトだけに頼るということは考えにくいと思います。まずは、これで仕上がった訳文を人の手で手直しする作業(ポストエディティング)が入り、さらに、その訳文が原文の意味を忠実に反映しているかどうかを確認する作業(逆翻訳)が入ることが考えられます。

この2つ目の作業も、機械ではなく、人の手に頼る必要があり、細かいニュアンスの確認や、より適切な訳の提案を行うなど、かなり高度なスキルが要求されます。中国語の特許翻訳では、完全に人の手で行われた翻訳に対しても、この逆翻訳という作業が行われているケースがよくあります。そこまで慎重に行わなければならないほど、重要な文書だからです。企業は、研究開発に非常にお金をかけており、また特許の出願にも当然お金がかかります。万が一、侵害があった場合、訴訟にまで至ることもあるわけですから、慎重にならざるを得ません。

もう1点は、膨大な量の特許情報を調査する際に、機械翻訳によってスクリーニングをかけることができます。機械翻訳されたものから気になったものだけ取り出し、翻訳者に依頼して人の手で翻訳するということが実際に行われています。

この記事にもあるように、2011年に中国は特許出願件数で米国を抜き、1位に踊り出ました。


中国で出願されている特許が日本企業の特許を侵害している可能性があるため、日本企業としては中国で出願されている特許の調査を行う必要があります。そこで、こういう需要が増えているのです。

中国市場の急激な伸びに対し、技術や法律の充分な知識をもち合わせた日中・中日翻訳者の育成が追いついていない中で、ある程度はこういう機械翻訳ソフトに頼らざるを得ないというのが現状なのかもしれません。しかし、それが翻訳者にとって脅威になるのではなく、逆にこれまでとは違う形態の新たな需要を生み出しているのではないかとも思っています。

誤解を避けるために補足しますが、私はポストエディティングの仕事をするつもりはありませんし、機械翻訳されただけの原稿を逆翻訳する仕事もお断りしています。機械翻訳されただけの原稿はひと目ですぐにそうと分かります。また、必要性をまったく感じないので、このソフトを使うこともないと思います。

2013年1月25日金曜日

安田峰俊さんの「和僑」を読んで

昨年12月に発売された安田峰俊さんの力作「和僑」を読了しました。あとがきにあるように、この本の登場人物は、マカオの欲望の海を泳ぐ華僑の富豪、金銭とロマンを求めて男たちを狩り続ける風俗嬢、上海に二一世紀の日本人町を作り上げている駐在員たち、魔都の夜に君臨する暴力団組長、北京で日中友好の幻想に翻弄された心正しき人たち、雲南省の農村に住む2チャンネラーと、多種多彩です。

私も、豪州ブリスベンと台湾とを行き来して生活している和僑の一人として、多くの和僑たちに出会ってきましたが、それぞれの方がこの本の登場人物同様に個性的で、海外で生活することになった経緯や人生の目標、価値観も異なる方々ばかりです。私自身の生き方も、この本の登場人物たちとは大きく異なっていると思います。そして、この本の登場人物たちを取り巻く中国人、中国社会も同様に様々な側面をもっています。

日本の報道では、経済発展や、民主化運動や尖閣問題に関係するデモや暴動などばかりが注目されていますが、同じ大都市でも、北京と、上海と、香港・マカオなどを含む広東省の珠江デルタの町では、環境も習慣も言葉も文化もまったく異なります。おそらく、ゲルマン系の英独や北欧諸国などの間、ラテン系の仏西伊などの間での違いと同じぐらい異なるのではないでしょうか。私自身にとって関わりの深い台湾も、同じ中華圏でありながら、政治体制だけでなく、文化や習慣、言葉などの面で、中国大陸の他の省とは大きな違いがあります。沿岸部から遠く離れた中国の内陸部や、都市以外の中国の農村については私は詳しくはありませんが、西側社会や中国の大都市の常識が通用しない世界が広がっているのではないかと想像しています。

こうした多様性あふれる中華世界ですが、台湾や香港、シンガポールなども含めた中国人社会に共通しているのは、複雑きわまりない混沌とした摩訶不思議な魅力だと思っています。「日本人はこうだ」、「日本社会はこうだ」と一言で断言するのが難しい以上に、中国人や中国社会を十把一絡げに語ることは困難です。その訳の分からない無秩序さが、おそらくデモや暴動の背景にあるのであり、隣国である日本としては、その無秩序さに振り回されながら自分の居場所を探して求めていく能力が必要になっていくのかもしれません。

この本の登場人物たちは、そんな混沌とした中国社会の中で自分の生き方を探し出し、自分の居場所をみつけ出しているようです。今後、嫌でも中国とつきあって行かざるを得ない中で、中国にあまり関心のない人にとっても、彼らの生き方は大いに参考になるのではないかと思います。

2013年1月21日月曜日

セミナーが無事終了

1月12日(土)に東京で開催したセミナーが無事終了しました。ご参加いただいた方々、企画・運営にご協力いただいた皆様、ありがとうございました。

少し大きめの部屋を準備したのですが、当日はほぼ満席で、多くの方から非常に有意義な会であったとのご感想をいただきました。

詳細につきましては、こちらにレポートをまとめましたので、ご一読ください。

JAT会員の方は、前半のビデオとスライドもご覧いただけます。

2013年1月15日火曜日

日本翻訳ジャーナルに寄稿しました

日本翻訳連盟の機関誌として、会員向けに年間6回発行されている日本翻訳ジャーナルにコラムを載せていただきました。


http://www.jtf.jp/jp/journal/journal_top.html
今回の号は昨年11月28日に行われたJTF翻訳済の特集号となっています。セッションごとに報告がなされているので、参加しなかった人でも会場の雰囲気を感じ取ることができます。私も参加することができなかったのですが、今年はぜひ参加してみたいなと思いました。
私は「南船北馬」というコーナーに寄稿させていただきました。オーストラリアの翻訳事情についてご紹介させていただいています。こちらからぜひご一読ください。
http://www.jtf.jp/jp/journal/bk_pdf/2013/Journal1301.pdf





2013年1月4日金曜日

台湾企業による対日投資が盛んに

昨今のニュースを見ていると、外資系企業は次々と日本から撤退し、アジアの拠点を中国やシンガポールなどに移しているように見受けられます。そんな中、年末に台湾の大手企業2社による2つの大型対日投資案件がニュースになりました。

1つは世界最大のEMS(電子機器受託生産企業)であるフォックスコン(鴻海)によるディスプレイ関連の研究開発センター設立のニュースです。フォックスコンは、大手パソコンメーカーへのパーツ提供や組み立てなどを行っており、iPhoneやiPadもこの会社が生産しています。近年、中国の工場での労働者の自殺など、労働問題が欧米や日本のメディアでも取り上げられているので、聞いたことがある方も多いと思います。2012年3月には、シャープと資本業務提携をし、シャープの筆頭株主となるための交渉に入りました。その後、世界最大規模の液晶パネル工場であるシャープ堺工場は、ソニーとの合弁が解消され、フォックスコンの郭台銘会長の投資会社が株式の約半数を取得し、社名を堺ディスプレイプロダクトに変更しています。日本での研究開発センターは、東京と大阪に設立されるという噂で、初年度の投資額は約10億ドルにのぼるようです。

もう1つは台湾の大手銀行、中国信託商業銀行による東京スター銀行買収のニュースです。東京スター銀行は、1999年に経営破綻した東京相和銀行の営業権を譲り受けて設立された第二地方銀行です。実現すれば、外国銀行による邦銀買収の初めてのケースとなります。

また、急速な円安の進行による影響で、台湾人の日本への旅行需要も再び急増しているそうです。

今年は、台湾と日本との関係がさらに密接になっていきそうです。